サムライ天国ニッポン/こたきひろし
う」
と言った後に、「俺は実物何度も見ているけどよ」と付け加えた
「お前は写真で我慢しておけや」となかば脅された。「五百円でいいからよ」
言われるままに、俺は写真らしき物を渡された
封筒に入ってるらしくて中身を確認しないまま強引に
学生ズボンのボケットにいれられた
学内でヨコヤマ先輩は怖れられた存在だった
その悪行はしれわたっていた
仕方なく俺は財布からなけなしの金を渡した
俺は封筒の中身を想像しながらトイレを出た
もし封筒の中身が本物だったら先輩はいったい誰の体からその写真を写し取っていたんだろう。
俺はそれを妄想し想像するだけで性的に身震いした
ヨコヤマ先輩の度が過ぎた日頃の悪い噂が果たして真実か嘘かなんてどうでもいい
事の善悪を越えた興奮が恐怖と絡み合って
強い刺激を運んで来たのだった
それは俺が十六歳
高等学校一年のある日の放課後だった
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