森のむこうで/プテラノドン
 
音符のように奏でられなければならない
文字もまた、語らなければ―。

夜になると その影の形から
お城の森と呼ばれた森のむこうで
チェコスロバキアの国旗ははためいている
文字を読む原住民の人々は語っていた。
文字を呼ぶ 開拓者の時代だったが、
地図を眺めている奴等ばかり
そのくせあいつらの地図は
森の木のことまで記しちゃくれない。
「みんな、触角の生えた人間だよ!
 びくびくしちゃってさ!」
子供達が口々にそう言っている 側で
松葉杖をつく男が立っている。子供達はその男が昔
地雷に足を吹き飛ばされた事を知っている―
自分たちもいつかそうなりかねないのを 
男が笑っ
[次のページ]
戻る   Point(4)