森のむこうで/プテラノドン
音符のように奏でられなければならない
文字もまた、語らなければ―。
夜になると その影の形から
お城の森と呼ばれた森のむこうで
チェコスロバキアの国旗ははためいている
文字を読む原住民の人々は語っていた。
文字を呼ぶ 開拓者の時代だったが、
地図を眺めている奴等ばかり
そのくせあいつらの地図は
森の木のことまで記しちゃくれない。
「みんな、触角の生えた人間だよ!
びくびくしちゃってさ!」
子供達が口々にそう言っている 側で
松葉杖をつく男が立っている。子供達はその男が昔
地雷に足を吹き飛ばされた事を知っている―
自分たちもいつかそうなりかねないのを
男が笑っ
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