バレンタインの詩/
ミナト 螢
本命がいるだけで
背筋が伸びるような椅子に座る
それは電車で遠くまで
買いに行くチョコレートだった
唇を切り分けたように
何度も口づけできる甘さは
控えめな方が夢を見やすい
好きですと伝えるたびに
溶けるチョコレートが
日本列島に穴を開ける
恋人たちはその中で固まり
窓を作って景色を見るのさ
ラッシュアワーの向こう側で
目が合った人と君は似ている
離れ難い場所に僕を置いた
君はきっとひとりで来るはずだ
戻る
編
削
Point
(0)