心に引いた飛行機雲/樹 なぎ
 
なに言葉を積み上げても、
どんなに思い出を照らし合わせてみても、
重なり合うことはできない
誰の周波数にも存在するのに、
あの星々の光のように、決して、交わることは無い

夏の空気が全てを溶かして、
繋げてしまいそうなのに。

梅雨にぽつんと挟まれた、
おかしな晴れた日にはいつも思い出す
この記憶のありかは、きっとみんな同じだと

夏が特別なのは、
みんなが心に閉じ込めたあの日が、
飛行機雲みたいに脆く、繋がるからだと。
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