土曜日の虹/komasen333
 

梅雨を経て
伸びに伸びきった芝生
さすがにそろそろ刈らなければと
精を出した
真夏手前の土曜日

芝刈り機を
買うほどでもないスペースに身を屈め
剪定バサミで
チョキチョキ、こつこつと芝を整えていく

とことん綺麗にしても
すぐにボウボウと元通りになる季節
あまり神経質になりすぎず
大まかに芝の高さを揃えていく




休憩を挟まず
一時間くらいかかって
まあまあの見栄えが完成
汗や風とともに
散髪に行った後のような爽快感が流れる

剪定バサミを片づけ
ほうきで刈った芝を集め
可燃二十リットルのゴミ袋一丁上がり!
景気づけに水を撒いていく

ホースから
穏やかに放たれた放物線
その先に
うっすらと虹が架かってゆく

こんなことで
これだけのことで
土曜日は
まだまだ長いと想える



( 第48回 岐阜市文芸祭 一般の部 現代詩 佳作 )

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