お弁当作る機会が無くなって代わりに詰める三十一文字/きりはらいをり
新しい靴とスカートで行くからさ 君よ、どうか、汚してくれたら
十七時取り残された公園でまだ揺れているブランコひとつ
想像の綺麗なナイフ握りしめいざ飛び込まん君の懐
このコートまだ時期尚早だったかもという尚早春はすぐそこ
月並みの感性だけで行ける町踏破してから個性を名乗れ
百均で買った茶碗になけなしの感傷よそう独り身の夜
生きるため食べる(殺す)獣の真赤な口を美しいと思う私が好きだ
救うより殺すが余程易かろう神にそれでも祈る我々
赤信号待つ間に語り切る程の半生ですが楽しいことよ
何故みんな私を置いて行ってしまう 通過電車に頬を切られて
寒いねといいつつアイスティーを飲む安寧 明日は死ぬとも知れず
益虫と呼ばれし蜘蛛よ正義とはさも恐ろしきかたちなりけり
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