如く/あらい
 
はな】

しかし、襖の穴はいつ開いたものか、
今の今まで隠れていたようだが
羽織物すら誇りを眩す、

「あれはだれか。」

微動だに舌は、私
誓いだけがごろりと
転じる
何冊目かの日記帳はすべて白紙
名前だけが描かれる、表皮によわい
通り越して白骨化した
私の思念だけがいたいいたい

からからの喉がなり続ける

叫べども、
張り裂けんばかりの、
胸を借りて、

あなたが泣いているのを、

見ている。
春風を装う薄紅の花弁は嘘つき
小雪が舞うだけの仄かな煌めき
戻る   Point(0)