ヨイヤマ/AB(なかほど)
秋の連休の最終日に
剣神社のほうらい祭りがある
小さな町のことで
老若男女こぞっての縁日というところだ
小学校低学年の女の子がボールを投げ
オッチャンが外れたボールを
「当たり」に押し込んだ
女の子は半分怖がりながらも
自分よりも大きなピンクパンサーを受け取り
見上げた母親に
「あれがオッチャンの手口なんやで」
と言い放たれた
四つの息子が足を止める店は
ゴムボール釣りで
けなげにも「これ したい」とはまだ言えない
黙ってついてくれば
何かはやらせてくれるものだと思っている
お父さんだって空気鉄砲
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