虫篭窓の瞼/あらい
歪んだ廃屋に住まう老婆は元は花売りをしていたという。
摘み取られた花々の売れ残りを悼み此処に種を自生させる。首を刈り取られた花々は枯れてなお見せしめに壁に揺られている。そんな場所であったと想像できるが、然し縁あって此処にうつつと置いて、番と棲みついたはずであるが今はもう影も形もない荒れた塚である。
そこまでの道は無理やりに抉じ開けられ、古い朽縄がぎしぎしと心を締め上げるよう、しかしそれを断ち切っても尚、緩やかに移ろい、それでいて、何時か行かなければ成らないと本能は言う。
すると街道沿いに列を焚べる、あばずれの蛾蟲たちの行く末が描かれるべき みちしるべには、不具を背負う赤子の
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