透明標本/あらい
やしないとくすくす、笑っているかの
危うい嘘を見下しているアクリルの内側にて、
残念なお魚たちの啄み 覗き窓すら弛緩する
蒸しとした青葉から、ちらちら、がたがた、
葉を均し 影に隠れ 魅せている。
無秩序な鎚、あべこべな膣。
階下のおとうとが口角をあげて剥がれていく
居ても、経つても。
降りて来ないので、仕方なしと手を下した、
遺骸と位牌と喉仏が、
懐かしい屋根裏の香りに連れて
ゴクリと鳴る成る。土の被った明日の油蝉が
泣いているよな花火を潜し。
鼻についたよな、目に沁みたよな。
硝子瓶のあぶくたちは生まれては死んでいく
琉金。羽ヒレを戦がせた夏の日のこと
天をながめみる者達は息を止めたままだ。
みな一様に、たのしげであった。とも
ないていたとも謂われている。
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