とっぷり/あらい
いじらしいつら 器に移し舞て おおっぴらに抱いてしまおう
生まれ行く命は そのうちに膿んだ現世に空蝉が虚ろ居混む
己が想いは何処へ往くのか 身に着せた装束は思いであろうさ
静粛に静寂に生を沈ませ あさき肌は最果て迄沈む
闇に漂う光を繋ぎ あなたの姿と存じましょう
綺麗な声で歌うもんは 少しは拝借したいもの
聞き耳立てては噂に流され、里へ行く者は導かれ
夕餉の香りが滲みた道には美々しく斜陽がお似合いか
死に場所に誘われるという、らくな祈りを捧げゆく
終の住処を経ても尚 夢を抱く者たちは眠りを散らし
堕ちて朽ちても愛は永久に断罪を、円居に描く、深青。
後悔はないのだろうな ならば共に添い遂げるのみ
少しばかりの瞳が潤んで、空に還り咲く年頃だろう
戸締りはしただろうか。立つ鳥跡を残さずとも
影はひたり、焔は吹き消された。
戻る 編 削 Point(1)