自由な火の鳥/邦秋
 
綿よりも軽いシナリオと
彩りのない映像で
海に向かって歩く度
割れていく海を記録する

無数にそびえるアンテナに
届くことなく墜ちていく

砂の日々、風に流され遠ざかっていく
台風の目の中で立ち尽くして、独り

ひとりでも狭いこの路地で
すれ違えど、ただすり抜ける
閉じ込められているこの花は
誰も知らない間に枯れていく

空気のよう、自然に馴染んでいるわけでもなく
単に徐々に透明になるだけのヒストリー

歩き続けた先で灰になり空を舞う
その時初めて自由を得る孤独な火の鳥
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