雨の唄/
樹 なぎ
雨空を映した線路はどこまでも続いていく、
雨の世界、全てがぼやけて、単純な世界。
その雨の輝きが、
この街の根底に広がったわずかな光を発掘して、
大袈裟に映し出していた。
元の飽和した街に戻らないうちに、
心の琴線に、閉じ込めておきたい、
この雨の音を、向こうに見える、
雨上がりの空を。
そんな、
一つ一つの雨粒は、
この世界を閉じ込めて、遮って、
私たちは盲目になった。
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