手探り/
あらい
すとやはり洪水が廊下を浸し流される苑の海に
真新しいカンテラを持ち現れる時の簒奪者はえらく細く緩い。
瞬きの合間を滑り込み、光の吐瀉を促していく
鏡の前の素人を演じてみて、色を落したカメレオン
鼻緒が切れたような曖昧が転び方を魅せて、
居心地の悪さを遺している吐瀉は鍵を隠しては
きっと愛に飢えてる時計を巻き戻し続ける。
ただいまとあかりをともしても。
落胆の声を発して、消え失せる他にない、
擬態する文様すら忘れて終う、幽かな残香。
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