Stay Free/ホロウ・シカエルボク
前広場で訳の分からないことを叫んでいる、それはいつかには予言だったかもしれない、警告だったかもしれない、そうさ、神の言葉を伝える係はいつの時代にだって居たんだ、だけど、近頃じゃそういうのはみんな、鍵の掛かる病棟に連れて行かれてしまうのかもしれないな、ねえ、俺の弟に会ったらよろしく言っといてくれよ
夕方、湿気をたっぷりと含んだ熱が住処を床下からなぶって来る、イライラしながらエアコンの温度を一度下げる、やけに縦に長いこの家じゃ俺の部屋まではエアコンの風は満足に届かない
俺は懐かしい歌を口ずさむ、音楽はいつだって流れているじゃないか、人間はどんどん記号になろうとしている、そこにどんなものが隠れていても気にすることもない、街は清潔に薄汚れている、自我のないやつらが世論に操られてゾンビのようにフラフラしている
DVDを垂れ流しながらまるで違うことを考えていた、この世はまるでパニック映画さ―そんな映画の主役と、脇役と、モンスターの差ってどういうものか分かるかい?
それは、いつだって理性的に生きられるかどうかってことなんだ
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