小虹/秋葉竹
 


その堤防は黄昏に
染まる海の静かな波の音に
つつまれていた

おだやかな心象風景のなか
ふたりだけが
迷っていた

それは
爽やかな夏の音楽が
昼間は鳴り響いていたから?


でも、どんな夢も
どんな風に吹かれても
やって来る未来は
なにも変わらないものね

心は、
凍りかけ、

心は、
凍らない、

それを、
繰り返す、

えんえんの悪夢が頭の中で
黄昏の僕をあざ笑う

油まみれの両手で
黒く汚れた灰を掬い上げて
嫌がる君のほおを
ツーッ、って、撫で上げてみたい
そこで汚れた涙の雫が
なによりあたたかい
小虹を呼ぶかもしれない

それは、
けっしてないといいきれない
未来の希望の光が輝く、
惑星や星屑を
信じることになるかもしれない


そんな堤防の上に立って
暗闇の海をわかろうとする
やさしさに
つつまれて
いた

つみびとが背負った諦めと脆弱の夜に
ふたりだけが
けんめいにたえていた
じゆうにできない
《震え》を
抱きしめながら





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