現実だってたぶんまじないみたいなもん/ホロウ・シカエルボク
盗人のような夕日が、薄曇りの空に紛れてゆっくりと沈んだので、俺はまるで破産した大金持ちのような気分で遮光カーテンを閉じた、喰い過ぎた晩飯がウェイトになって胃袋に伸し掛かる、だからイヤホンを突っ込んで感覚をほんの少し無効化することにした、出来れば少し消化するまで待ちたかったけれどすべてを望み通りに叶えることは出来ない、間違えて買った蛍光灯は部屋のすべてを照らすことが出来ない、ディスプレイを見る分には困りはしないけれど…若いころにブルースだと思っていたものは、いま聴いてみると意外とブルースとは言えないものだった、だけど、だから良いとか悪いとかって話でもないさ―いろいろな事柄が足踏みをしている、上手
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