産ち落とす/ゆるこ
子供を産んでしまってから
私の悲しみも羊水と流れていってしまったようで
鏡の中の自分に呪いをかけられている日々から
いつの間にか救われてしまっていた
陽光の、
緑の丘に置き忘れた腐った右足
誰かへの罪が、ふと
真綿で首を包むように静かに締め付けはするものの
奇跡の子供たちの笑い声に
掻き消されてしまっている
私が愛せなかった、とりこぼした分の愛を
陽だまりのように与えてくれる
その度に、
自分の事を殺したくなる
あぁ、今すぐ空が落ちて仕舞えばいい
放り出してほしい
この不甲斐ない残像を
消し飛ばしてほしい
またひがめぐれば
私の影はまた一つ薄くなり
最後にはすべて、吸い尽くされてしまうのだろうか
そんなことばかり、考える夜
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