吟遊詩人の歌/ホロウ・シカエルボク
欠けたグラスの縁から飲んで唇から途方もない血を流せばいい
解けた鎖を無茶苦茶に絡め直して永遠を誓えばいい
もう二度と手に入らないものは
どんなに蔑ろにしたって誰にも叱られない
闇雲に生えて絡まった雑草で出来たトンネルを駆け抜けて
薄汚れた自分を誇りに思えばいい
岩石の間から湧き出る水をなめて
明日は必ず来るのだと知ればいい
一生の価値に比較対象などない
導かれるままに歩みを進めるがいい
荒れ果てた薔薇園に潜り込んで傷だらけになり
血に飢えた野犬の囮になるがいい
死はいつでも目前に居る
多少無理矢理にでもそう知っておいて損はない
夜に鳴く鳥はけたたましい声を上げる
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