Birthday/ミナト 螢
 
逆上がりで夕陽を枕にして
今日が終わるのを食い止めていた
また朝が始まるつもりでも
僕が生まれた日を知る人は
もうどこにもいないというのに
明日を恐れた夜に価値がある
この先は次の年まで何をしよう
仕事や家事なんて
椅子に座れる日くらい見逃して
カレンダーに告げていく
ひとりひとりのBirthday
ロウソクが灯る時間の中で
僕等はみんなパスタみたいに
ややこしい出口を探した
絡まるフォークに苺を刺して
365日、祝福されている
地球がいちばん幸せだから
生クリームで汚れた丸い顔を
誰かと一緒に舐めてみたい
戻る   Point(0)