なかったかもしれない/
水宮うみ
在るかないかわからないから書いているのかもしれない。
ここに在ったかもしれない、なかったことになるかもしれない、
この場所を覚えていたくて言葉に変えている。
書くことは願いにすこし似ていた。
明日どうなるかわからないものを願うように、
ないものを言葉にしようとする。
なかったかもしれないある日。
わたしの目に映った、どこにも居ないかもしれない誰かが、
今でも星のように、きれいに光っている。
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