腐ったこーひー店/ふじりゅう
枯山水のマニュアルがないのと同じことだ
偽物の毒をばら撒くように
マスターが店内を見渡す
いつのまにか
羽虫が寄ってたかるほど外は眩しい夕暮れ
来客たちは全てを許容するように
コーヒーの墓標へ手を合わせている
煙草を一本吸う
ちらちらと生命活動が失われる
夕闇に浮かぶ戦艦のように
翌日午前7時がほの見える
良い時間となったとのこと
一口場残ったコーヒーの黒い水面に
反射して突き刺してくる光
を飲み干す
私も手を合わせる
既に瞳の閉じられた室外の地球へ出ると
雨の亡骸だらけだ
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