梅雨前線/
ミナト 螢
雨粒が胸に染みを作る
冷めたお弁当を食べたように
窓ガラスにも残り物がある
昨日も今日も動かない
カチューシャみたいな前線が
天気予報でおめかしをしている
濡れた顔の方が綺麗に見えるから
恋をする時は泣き虫になって
街中に鏡をぶら下げるよ
滲んだ景色に私を投げて
潤んだ瞳はサイリウム
空が溶けたような雨をなぞり
夜が更けていく音が好きだ
こんな日に読む本がないなんて
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