みかんゼリーとブルーベリーソース/牧村 空太
 



      夕暮れ時がそこにはあった



      透明なゼリーに閉じ込められた
      みかんの間を
      飛行機は泡の尾を引きながら
      西へと飛んでいた


      夕暮れ時のみかんゼリーは変幻自在
      飛行機がスピードを上げれば
      その行く手を拒むかのように硬くなり
      スピードを落とせば
      水のようにやわらかくなった


      飛行機のスピードは
      ゼリーを固めるには少しだけ遅いらしい
      固まりきれないゼリーからは
      みかんのつぶが少しずつ
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