音の速さ/にゃんしー
小学生のころ
校庭に出て
音の速さを測った
校庭のはじっことはじっこに立ち
ピストルを打つと同時に手をあげる
聴覚と視覚の時間差で距離を割ると
音の速さが出るわけだ
広い校庭に響くピストルの音
同時に何かが走り出した
そんな気がした
5月1日は
アイルトンセナが死んだ日だ
サイレンススズカが産まれた日だ
26年前
誰よりも速く人生を駆け抜けたふたつが
音速で交差した日だ
あれ以来ぼくは
音の速さのことを考えている
しずかな日曜日がすきだ
音が消えてしまったあの瞬間から
新しい音の誕生を待っている
広い校庭に響くピストルの音
あのときスタートしたものを
ずっと追いかけている
あれ以来ぼくは
音の速さのことを考えている
5月1日は
アイルトンセナが死んだ日だ
サイレンススズカが産まれた日だ
26年前
誰よりも速く人生を駆け抜けたふたつが
音速で交差した日だ
秒速340mは
速いのだろうか
遅いのだろうか
そんなことを考えている
生きる速度のことを考えている
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