いつのまにか空っぽの血管/ホロウ・シカエルボク
 

おまえの
見開いた目の
いたみ

排水口を、すべる
小便の
甘い匂い

午前零時の
渇いた鐘の音が
脳味噌の中で鳴る


今日の臨終


噛み砕いた林檎の酸味
手のひらに刺さる
割れた和盆の
破片

血の滲むうたが
闇の向こうに消えた
かすかなハウリングだけを残し


狂った世界
頭蓋骨に注射針
浸透する薬剤のラベルを素麺のように啜り

馴染のあるゆがみ
過去と明日の入り混じった
あたたかで乾いた糞

打撲!打撲!打撲!
骨が欠けた瞬間
水晶の中で蝶々が孵化する
冷たいね、お前の心臓は点に満たない
羽ばたくがいい

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