風になる/
こしごえ
風になる
風は
見えないけれど在る
風は
わたしのほほをなぜる
無言の声だ
その声は
いつか
だれかのほほをなぜる
風
それは
雲を運び
山を越える
それは
木の葉をゆらし花をゆらし
鳥と空を共にする
風は
そよそよと光る
けれど時には
びゅうびゅうと声をあらげる
そうして種は飛んで
生きるために芽を出す
さまざまな わたしが
風を吸いこみ
言葉ではない言葉を発するとそれが
あたらしい
風になり
耳をかたむける林を通りすぎてゆく
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