近くにある星/水宮うみ
星空の光のなかに一つだけ あなたがいるという言い伝え
水面にまぶしい色を描いている ひかりのように季節はわらう
カラスよけに吊るされたCDが月みたいに光っている 朝の空
世界にはたくさん魚がいるけれど うちの金魚が一番可愛い
この指が 地球も星だということを冷たい夜に思い出している
あの頃の 世界を救うことでしか 自分を守れなかった私
寂しいのは背中に羽がないからで、決してきみがいないからじゃない
あの人の後ろ姿を見つめてるきみの可愛さをあいつは知らない
泣いているあなたは凪いでいるように止まってみえた ふっている雨
今はもう閉店した本
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