空舟は 希望する(うつおぶねは きぼうする)※改稿版/こしごえ
この道を選んだ私の
誰にも知られることはない絶望に ほほえむ空舟は
複眼をもつ蜻蛉(せいれい)の櫓(ろ)を漕(こ)ぐ。この櫓の羽の内部は
言葉を発した。
しかし
選べない場合もある。
うん
十二時零分と明記された文末を通りすぎる。
ごきげんよう、
ある最後は
言葉に言葉の縁取りをする
ある誕生日です。
波間を行く空舟の
縁取った言葉の 幽かに明滅する素肌は ひんやりと黙る。
火葬の煙がひとすじ昇り 雲となり 天気雨きららきらら
しん と していると心音が闇の扉をノックした
うん
心音の私の母は、母の母の母の母の母の母の母の母の
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