田舎のラジオたち/ふじりゅう
 
1.
お気に入りの旧式ラジオが壊れたので、ぶっ叩いたら直った。と思っていたのだが、ラジオから聴こえてくる音声は、ラジオが発信すべきどこぞの誰かの言葉と音楽ではなかった。

ラジオが言うには、私は、旧時代的暴力人間だということだ。曰く、俺が毎度どれだけ苦労して、お前のために音を流していると思っている、そんな俺に感謝するならいざしらず、ひとたび失敗すれば手の平を返すかのように暴力を振るうとはどういう了見だ、とのこと。

私は、ラジオが受信しなくなったから、先人の知恵に倣って、叩けば直ると思っていたと話した。すると、旧式ラジオは、先ほどの倍は超えるエネルギーで、こちらを罵倒し始めた。


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