夕方の詩/
ミナト 螢
どこかの家の台所から
借りて来た匂いが
包丁で研がれて
僕を人見知りにする
家族のために
用意された花やカレンダー
想像が僕を膨らませたけど
その花をきっと自分では
枯らせてしまうのに
何故、欲しがるの
夜に背中を突かれて裏返る
声も願いも表札も
あなたのいない
この世界で恨みを運び
どうしようもなく
手だけを合わせる
赤い遺失物はもう
海に流れてしまった
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