アルストロメリアの妖精/丘白月
仲の良い妖精が二人
満月に内緒で種を育て
星が煌めく下で恋を囁やき
二人で一つの花を咲かせる
仲の良い妖精二人に
嫉妬したミツバチが
全部の花に意地悪をして
花びらの一枚に足跡を残す
その日の黄昏
花びらに残った黒点を見て
妖精は驚いた
太陽の女神が付けたと思った
その日から二人の妖精は
花びらの一枚だけ真似て
黒点を描きつづけた
これが僕達の花だよと
百合の妖精から生まれた二人
虹のように色を並べ
太陽に結婚しますと言った
謝るミツバチにも蜜をあげる
細くて長くて折れやすい茎が
二人の妖精のように
寄りかかり合って咲き
消えない太陽の黒点になった
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