スターチスの妖精/丘白月
 
裏庭につづく狭い廊下に
スターチスのドライフラワーが
まるで万華鏡のように
光を拾い集めてる
あなたがくれた最後の花束
一緒に歳を重ねるつもり
色褪せない言葉が耳に残り
冷めない温もりが身体を縛る
二人分の砂時計に立って
私は逆さにしようと決めた
スターチスの咲く前の季節に
あの庭に種を蒔いた日まで
春の香りも風も少しづつ
深い緑色に変わっていくように
四季の足音がリレーする
今年一番のツバメが
南の島から手紙を運んで来た
私は一緒に巣作りを手伝って
「もう一度」という文字を
繰り返し繰り返し
ツバメと並んで読んでます
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