[:fortune/プテラノドン
生徒にアイドルになったことを
伝えてもらえたのは、巡り合わせによる
一つの幸運。
おかげで僕らは何度も
ライブ会場に足を運んだ。
一緒に歩く生徒には何でも好きなものを
食べさせて、僕はウィスキーを口飲みして
気分に合わせて巻いたシャグを吸い込み
金を使えることに感謝しながら快調に歩いた。
新木場、新宿、渋谷に秋葉原。
ステージ上で彼女は
人魚のように歌っては沈黙する。
おかげで僕らは夜霧の海に迷い込んだみたい。
波の鼓動、それ以外の音を拾い集めることに
必死。
ツーショット写真に描かれた
手書きのサインやコメントには
一日限りの詩性が宿っている。
巡り合ったら最後、誰かじゃなく僕の
出番。
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