この街の壊れた玩具たち/ホロウ・シカエルボク
レス・ザン・ゼロの臭いがする通りで乗り捨てられたキャデラックのバンパーを破壊する夜明け前、野良猫のように芯まで雨に濡れて…夢中になり過ぎて怪我をしたことにも気付かずにいたんだろう、ご自慢のストレッチ・デニムは左脚の腿のあたりが斜めに切れて、プロレスリングのコスチュームみたいにそこだけ色が変わっていた、縫わなくてもいいかもしれないけど消毒ぐらいはしておくべきかもしれないぜ…人類はウィルスに怯えている、まるでペストの頃みたいにさ、だけど若さはいつだって独善的だ、そうだろ?美徳だの美学だのそんな話じゃない、ただそうせずにはいられないってだけのことさ、学者がメディアで話し合うほどの話じゃない―俺は哀れ
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