残り香/ミナト 螢
 
暗闇の中で見つけた香りは
君の毛先を風に渡して
誘われたように抱きしめる
落ちない星みたいに
遠くへ行きたいけれど
香りまで一緒にいられるかな
君が走れば薄くなる空気を
僕が吸うからまた返すよ
甘い香りをくぐるたびに
君を知って僕を教えたくなる
逃げるのかい
そんな目印をばら撒いて
遊ぼうよ
こんな夜の味を守るために
僕等はくしゃみを堪えていた
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