星のぶどう棚/丘白月
 
天の川で船を出す父と娘
釣り糸を垂らして漂う

星のぶどう棚は
母の形見の髪留め
揺れて落ちれば星座に

娘は釣り糸につかまり
取りに降りるどこまでも

辿り着けば糸は切れて
底にひとりぼっち

来てはいけないと声がする
懐かしい母の声が聞こえる

星のぶどう棚が泡の中で
ゆっくりと浮いていく

ほら追いかけてごらん
娘は泡に乗っていく

振り返れば母がいた
涙が落ちては真珠になって
底にたまっていく

父の手が水面に見えてきた
握った瞬間眠ってしまった

目が覚めたら
髪に星のぶどう棚

夢でもいいもう一度
底に立てば逢えるだろうか

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