カタクリの妖精/
丘白月
雪の下で眠り
星の声を聞く
月の歌を抱き
春の夢を見る
やわらかな風が
雪の上を流れていく
土の香りで目覚め
紫の羽根をひろげる
静かな深い森で
最初に生まれて
最初に消えていく花
妖精は穏やかな斜面を飛んで
花でいっぱいに飾る
儚い時の夢を見るように
静かな恋の色が咲く
カタクリの妖精は
春の木漏れ日の下で
雪解けの水を頂きながら
澄んだ心を育てる
誰も触れることのない森で
恥ずかしげにうつむく花が
妖精の気持ちを映して咲く
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