春の蛍/丘白月
 
祭りの灯が落ちて

桜も一息つき

目を閉じる

月夜の晩に

花びらが

月の精に命をもらう

雪が降るように

蛍が飛ぶ

風がひとり

星に生まれて

最後の花びらを

愛してると言って

さらって行った

蛍がひとり

風に抱かれて赤くなる

二人は帰る

あの懐かしい森へ


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