風のテラス(ちいさな死)/草野大悟2
 
のそれよりもずっと無口で、コーヒーを啜りながら光の粒の跳ねる音に酔いしれている客たちと、ごくまれに、ほんの一瞬だけのやわらかなコトバをかわしたりする。
 じんわりとしみこんでくるコトバは、客たちに、わずかばかりの違和感と、かなりの畏怖と、おおきな浮遊感とをもたらし、ながいあいだねむりこけていた足を踊らせる。
 一面のガラスごしに見えるのは、ふきのとう。
 もう雪がとけはじめ、レモンイエローの息吹が顔をだしている。

これは天ぷらにして、抹茶塩でいただくと最高なんだ。熱燗なんかで、
きゅーっとやりながらね。

君、無粋なことをいうんじゃないよ。
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