よみがえる/もちはる
 
山の中腹に
本堂が鎮座する
その床下の
戒壇を
 独り
  降りる

   ひんやりとした
   そこは真っ暗
   右手は壁を伝い
   左手は闇を泳いで
   目を見開いても
   何も見えずに
   恐る恐る進む足
   遠い昔の土蔵の中
   悪いことはしていません
   良い子になります
   あの時と同じように
   心で唱えながら
   ゆっくりゆっくり通り抜け

  光が見え
 風が匂い
人の声がする
身体ごと真っ新に
一瞬によみがえる
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