空瓶/ホロウ・シカエルボク
 
見えた
時間が来て
電気椅子に座った
目隠しをされ
濡れたなにかが頭にあてがわれた
それからヘルメットのようなものをかぶせられた
「最期に言い残すことはあるか」
「ない」と俺は答えた
生まれたときから最期だった
そんな人間になにを言い残せというのか?
凄まじいショックが来て
俺はあっさりと死んだ
少しは怖気づくのかと思ったが
まるでそんなことはなかった
誰かの財布に投げ込まれるみたいに始まり
どこかで財布からこぼれて無くなる
そんな
硬貨みたいな人生だった
俺の死体は役に立つらしい
では
さようなら世界
もしも次があるなら
始めからどこかに閉じ込められたいな



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