白紙のページを信じる/ホロウ・シカエルボク
おかしな時間に目が覚めて
それからずっと眠れない
閉じ込められた寝床で
脱出計画を練っている
きちがいは耳を澄まし
こそこそと覗いている
晴れるという話だが
夜明けまではなにもわからない
能天気な、高い声の
鳥が複数で鳴いている
公園で馬鹿でかい声で世間話する年寄りみたいに
いまこの世界で
いちばん大きく響くのは
俺の頭の下の枕が
落ち着きのない俺によって鳴らす音
理由のわからない車が通り過ぎる
ひところ賑わっていた街路には
人の声はまるでしていない
誰もいないのか、あるいは
全員が一人で歩いているかだ
ステレオのボリュームを少し落として
スピーカーは息を
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