春になると/丘白月
春になると思い出す
初めて逢った新学期
あなたの後ろが私の席
そっと背中の糸くずを取った
窓辺の席であなたの制服は
キラキラ黒いダイヤのよう
春の日差しはなにもかも
希望しか見せなくて新鮮だった
同じクラブに入って
同じ時間を過ごしたね
会話はなくても
いつも一緒に笑っていたね
グループで帰った満天の星空
いつの間にか好きになっていた
何も疑わない日々
このまま一緒に時間を過ごせば
私だけを見てくれる気がした
桜が中庭の池に映る
桜が水面の自分に語りかける
妖精が桜色の水面を歩く
私には見える
見えた気がした
あなたは信じるかしら
そう思って
桜色の薄い淡い恋が
心のなかで動き出していった
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