午後と水紋/木立 悟
 




空の注釈が剥がれ落ちる
滴の軌跡
硝子の筒


光が降るよ光が降るよ
そうふれまわる見えない子らが
誰かの虹に染まりゆく


報いを受ける時が来たのかもしれない
離れてはいけないものから離れすぎたことで
けれどだとしても 離れることは救いだった


白と黒しかない夏をすぎ
灰と銀しかない冬をゆく
更地は倒れ 起き上がる


祭りは此処にあるはずだった
ひとりだけがただ祝われていた
線路と指と荒れ野の三角


死んでしまった歌い手が
土に映りゆらめいている
何年もの間そうしている


明るくさみしい海岸に
子らの羽は打ち寄せて
空も地も等しく奪い合う


社の奥に
花はわだかまり
異なる色へ午後を分ける

















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