コデマリの妖精/丘白月
小手毬が咲いた
垂れ下がる花を
子猫が手を伸ばして
撫でている
花の声が聞こえない
雪の中で生まれたばかりの
子猫はこれから
たくさんの花と出会い
蝶と友だちになり
ミツバチと会話する
小手毬の妖精が
子猫に春の挨拶をして
花びらを一枚
子猫にプレゼントする
舞い散る粉雪のような
小手毬の花の中から
顔を出して子猫が笑う
妖精は子猫の鼻にキスをして
真っ白な綺麗な毛だね
小手毬だったのかもしれないね
そう言うと一緒に
小手毬の中に入って笑った
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