憧憬/
たもつ
たのだった
みっちゃん、髭が生えてるよ!
船でいけない所はない
そう言うと光雄はいつも海側に座る
海が見えない所でも海側に座る
船で行けないランドはない
すべてのランドが良い所ならいいなあ
すっかり声変わりした声で光雄は思う
「それならみっちゃんも船乗りになればいいのに」
「ばかだなあ、船乗りは心の中にあるもの
実在しないんだ
実在しないものにどうなれというんだい」
光雄は今日も風と話している
むしろ光雄は風となり風といつまでも戯れている
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