泡/ミナト 螢
 
愛の楽譜を開くと
休符まで飛び出すように
決まりのない唄を歌い出す
何かが始まった気がする時は
新しい飲み物を選んで
それが美しいかどうかさえ
自分と一緒に窓へ映した
何にも染まる前の私を
満員電車で汚したくはない
弾けそうで壊れそうな泡が
ペットボトルの入り口を塞ぐ
少し興奮した乳首みたいに
誰が触れるのか期待しながら
純粋なフリをする私は
吸い込む息の中に招いている
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