聖火 ――二〇二〇年・三月二十四日――/服部 剛
 
日付が変わる前、朋と電話で話した
コロナの蔓延(はびこ)るご時世を
朋は、コロンブスの卵に喩えた
僕は、こんな時こそ詩(ポエトリー)と云った

ここからがスタートライン
目に見えぬ恐れに振り回されるよりも
僕等は選択するだろう

アルコール消毒された
手と手を結び、目線の先の地平から顔を出す
あたらしい太陽を待ちわびる

それまでの間は夜の部屋に佇み
時代の不安に侵されぬよう
僕の手にする蝋燭(ろうそく)に小さな明かりを灯して
次のひとりに、火を移す  





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