魔女と月/秋葉竹
ひょっこり魔女がやって来て
箒でお掃除するでしょう、
帽子は中折れするでしょう、
夜はこれから更けるでしょう。
ビルの谷間を翔ぶでしょう、
その身を凍らすビル風は
魔性の心を呼び覚ますでしょう、
──魔女が魔法に呑み込まれ。
月はすっかり素面でしょう、
けれどすこしは照れるでしょう、
魔女が月へと翔ぶときに
街は華やぎ祝うでしょう。
わたしはそのとき知るでしょう、
彼女の心の底の底、
ただれる闇さえ見るでしょう、
──そして彼女を好きになる。
ひょっこり魔女がやって来て
箒でお掃除するでしょう、
帽子は中折れするでしょう、
夜はこれから更けるでしょう。
戻る 編 削 Point(5)